Winny裁判判決-そもそも法律が不明瞭すぎる

Winny開発者裁判の争点を極めて単純化すっと、「刑法上の幇助犯」にあたるか否かってことだな。


しかし、だ。こんなとこで意見が分かれてしまうこと自体がおかしくねーか?


なんでこういうことになるかっつーと、日本の法律ってヤツは、玉虫色な運用がしやすいように作ってあるからだよな。幇助になるかどうかなんて、解釈次第でどうとでもなっちまう。これがドイツなら、法律に不明瞭なところがあれば、サクサク改正していくのだろうけどね*1


例えばスピード違反にしても、ドイツの制限速度は街中で20〜60km/h(場所や道による)、郊外の一般道は80〜100km/hだ。5km/h上回っただけでも、オービスが光って罰金催促が届くが、その分、制限速度は状況に合わせて妥当な数値になっている。日本のヘンテコな法運用とは全く違う世界だ。


もちろん完璧な法律なんてものはありえないんだが、だからこそ、現状に合わせて常に法改正が必要だし、法の明瞭性が求められるんだろ。普段は存在を無視されるのに、その気になれば適用できる法律。こりゃ法治国家のやり方じゃねぇよ。日本は、公のルールとは別の『暗黙の了解』に支配されている社会ってわけだ。


まー、法律が不備なだけならまだいいんだが、解釈次第でどうとでもなるケースにおいて、日本の裁判所は常に個人よりも行政府に肩入れするし、未来の日本よりも既得権益層を守ろうする傾向が非常に強い。そこがどうしようもねぇんだ、ホント。


この国では、基幹システムであるはずの三権分立という構造自体が嘘っぱちで、司法は行政府や立法府にすり寄ってばかりいる。三権がそれぞれ独立して、果たすべき役割を果すことこそが民主主義の基本のはずなのに。そういう根本的なところから変わらないと、これからも重要な裁判で、釈然としないグレーゾーン判決が出されて、それが判例になっていくんだろうな。


まーそもそも、憲法で軍隊を持たないことを謳っているのに、「これは軍隊じゃなくて自衛隊だから」だなんて、日本以外では絶対通用しなさそうな欺瞞以外の何物でもない理屈がまかり通ってる国だからなー*2。なし崩し的に重要な事が決まっていくのは別段珍しくもなんともないと言える。


*1:なにしろ憲法に相当するドイツ連邦共和国基本法ですら、戦後40回以上改正されている。

*2:個人的には自衛隊の存在を認める改憲論者だが、自衛隊に対する厳しい歯止め条項が明文化されない改憲には反対。